まく子
久しぶりの投稿。
最近小説はめっきり読まなくなったのだけど、
この本はたまたま本屋で手に取って1ページ目を読んで、
続きを読みたくなって買ってしまった。
小説の書き出しってとても重要だね。
書き出し1ページで、買うか買わないか決まってしまうなんて。
西加奈子さんのことを知ったのは、又吉が『火花』で芥川賞をとってメディアでもてはやされていたときに、おすすめ本として西加奈子さんの『漁港の肉子ちゃん』を紹介していたのがきっかけ。『サラバ!』で直木賞を受賞してるらしい。
『まく子』のテーマはとてもわかりやすいし誰にとっても身近なものだ。
この世のものはすべて変わり続ける。永遠に変化しないものはない。
そして、この世のものはすべていつかは朽ちて存在しなくなる。
永遠の命は存在しない。
でも、その事実を受け入れたくない、受け入れられない主人公が、
永遠に変化しない物体しか存在しない他の惑星からきた宇宙人との交流をきっかけに、
自身の体や心の変化とか、命がいつか果てて死んでしまうという事実を
受け入れられるようになって少し精神的に成長する、という話。
話の舞台は小さな温泉街(「集落」と言っている)で、地域の大人も子供もみんな顔と名前が知れている。大人の話のねたが地域の噂話くらいで、それを子どもながらにくだらないと思ったり、地域の祭りでばか騒ぎする大人を見て「あんな大人になりたくない」と思ったり、主人公の大人や社会に対する思春期特有の反発心は、少なからずみんな成長の過程で感じたことがあるんじゃないかと思う。だから、読み手の共感を誘うし、わかりやすい。
面白いのは、宇宙人が出てくるところ。
なんもない平和でのどかな田舎に宇宙人というSF要素が混ざって、現実的なようで非現実的な感じがフィクションぽくて好き。
宇宙人のコズエが去ったあとでまた宇宙人ぽい転入生がきたと思ったらそれは宇宙人ぽい地球人だったっぽいところが最後に笑えた。
あまり難しくない内容だから仕事の息抜きにいい感じでした^^