アリスの本棚

読んだ本の紹介をしていきます。

クォータリー[あっと]1号

クォータリー あっと 1号

クォータリー あっと 1号

この本が刊行されたのが2005年9月。
10年前。
10年前、私は大学生で、
いろんな国や地域、とりわけ発展途上国の現状が見てみたくて
ピースボートに乗船した。
その船で田中優さんに会い、彼の考え方に惚れ込んだ。

下船後、田中優さんの考えをもっと吸収したいと思い
彼が書いている本を探して読んだ。
これがそのうちの一つ。

この季刊誌は田中優さんの他にもいろいろな人が記事を書いているんだけど、
あまり読まず(難しくて、、、)。

記事のタイトルは「生きるためのオルタナティブです。

優さんが書いてるとこだけやたら線引いてある。
大学生の頃の私が読んで何を感じたのか、
線の引いてある箇所から思い出そう。
そして今読んでまた、考えたことをまとめていこう。

○アウトプットを前提としないインプットは無意味
 大学受験のために、私はたくさんの知識をインプットしてきたし、
 勉強ってそうゆうものだと思ってた。
 でも、どんなにインプットしても、アウトプットできなきゃ
 その知識・教養は存在しないと同じ。
 だれかの考えを批判するだけで代替案を提示できないような
 偽インテリにはなりたくないな~と思った。

○二者択一の罠と、オルタナティブという考え方
 AかBか、どちらかしか選べない状況で、
 実はBという選択肢はだれも選ばない選択肢となっている。
 自民党民主党か、みたいな。
 (だれも民主党に期待してないから、
 結局自民党に票を入れるしかない、みたいな。)
 これはファシズムの手法だと、優さんは言っている。
 今の会社に服従するか、退職するか、みたいな。
 (退職するリスクが高すぎて結局服従せざるを得ない、みたいな。)
 
 実際、こういう状況は今の世の中めずらしくないと思う。
 
 オルタナティブとは、
 このような状況で、全く別の次元の第三の選択肢を示すことをいう。
 AでもBでもない、Cという新たな道を考えを選ぶことで、
 この状況を打開してよりよく生きることができる、というもの。

 優さんはこの後の展開で様々なオルタナティブの例を出しながら説明している。
 ひとつめに、
 オルタナティブ(第三の選択肢)は問題の原因に遡って考えなければいけない。
 ふたつめに、
 オルタナティブが見つかったら、
 それはその社会に見合ったメディアで表現しなければいけない。

 みっつめに、
 もしそのオルタナティブによって社会変革を目指すのならば、
 社会的な影響を持ち得る存在にならなければいけない。

 よっつめに、
 このような個人としてのオルタナティブだけでなく、
 社会に対してのオルタナティブが必要。

 社会に対してのオルタナティブとして、優さんは「中間法人」について触れている。
 非営利で会社と同じような業務ができる。
 NPO法人だと出資を受けることができないし、
 誰が入ることも合理的である限り拒否できないというデメリットがあるが、
 中間法人だと会社の株式にあたる拠出金を受けられるが配当してはいけないのと、
 閉じたメンバーだけの共益組織なので、
 有限会社のような活動ができるそう。 
 (この辺は難しくてよくわからなかった。>_<)

 中間法人については置いておくとして、
 行政、民間とは別の「市民セクター」が育っていくことが
 社会に対してのオルタナティブである、という考え方にとても共感しました。

 まだNPOのような非営利組織で働くことを選ぶのは勇気がいる世の中です。
 でも、この市民セクターが社会的に影響力を持つようになれば、
 優さんがいうような「二者択一の罠」から私たちは逃れられるのだと思います。
 まずは、自分が会社に服従しなくてもいいような地位を築き、
 自分の今の仕事と並行して非営利活動に関わることができれば、
 そのような生活スタイルが多くの人に確立されれば、
 世の中が変わっていくんじゃないかな~。
 
 会社と家を往復するだけの人生は少しさみしい。
 確かに、仕事自体もやりがいがあるし、自分が成長できる場所でもある。
 でも、もしもそうでない人がいて、
 生活のために働くしかなくて、
 その仕事にやりがいや生きがいを見いだせないのならば、
 優さんがいうようなオルタナティブな生き方を模索するべきなのかもしれない。
 それができる世の中になればいいと思う。
 
 そのために私個人として、何ができるだろう?
 今の仕事で手いっぱいなのもあるけども。。。
 インプットだけしてアウトプットできない人にならないためにも、
 自分なりのアウトプットの仕方を考えていきたい。